目次

  1. はじめに──転職活動から在宅勤務へ
  2. B型事業所での2か月──小さな安定と大きな発見
  3. HSPの私にとって「在宅勤務」がなぜ合っているのか
  4. 公務員試験が教えてくれた「向き・不向き」
  5. 働くとは、自分を痛めつけずに続けること
  6. おわりに──“自分らしく働く”という希望

1. はじめに──転職活動から在宅勤務へ

この数か月、私は転職活動を続けてきました。
障害者雇用枠での応募、公務員試験への挑戦、一般就労への希望――そのどれもが「働く自分」を取り戻すための模索でした。

けれど、思った以上に現実は厳しく、体調や環境の影響で続けることが難しい場面もありました。
そんな中でたどり着いたのが、「B型事業所での在宅勤務」でした。

最初は「在宅で仕事が成り立つのだろうか」という不安もありました。
でも、実際に始めてみると、私にとってこの働き方は驚くほど心に優しい環境でした。
気づけば、もう2か月が経ちました。


2. B型事業所での2か月──小さな安定と大きな発見

B型事業所では、日々の作業量や体調に合わせて柔軟に働けます。
私の場合は、完全在宅勤務の形で、パソコン作業を行っています。
メール対応やデータ整理、簡単な文書づくりなど、以前から得意だった「コツコツ型の仕事」が中心です。

通勤のストレスがなく、朝の準備や人の視線を気にする必要もありません。
その分、作業に集中できる静けさがあります。

在宅勤務になって気づいたのは、
「自分は思っていた以上に“人の気配”に敏感だった」ということ。
オフィスでは、誰かが歩く音や電話の音、会話のトーンに心が揺れていました。
それが今はありません。静かな部屋の中で、木軸ペンの材料を眺めながら仕事を始める――それだけで、心の奥がすっと落ち着いていきます。


3. HSPの私にとって「在宅勤務」がなぜ合っているのか

私はいわゆる「HSP(Highly Sensitive Person)」――とても繊細で感受性が強いタイプです。
人の感情や雰囲気に敏感で、周囲の小さな変化にすぐ気づき、心が疲れてしまうことも多い。

在宅勤務では、その「外からの刺激」が大幅に減ります。
自分のペースで動き、音楽を流したり、好きな香りを漂わせたりできる。
それが、思っていた以上に精神的な安定をもたらしてくれるのです。

さらに、オンラインでのやり取りは、言葉が中心。
相手の表情や空気に過剰に反応することなく、
「内容」だけに集中できます。
これは、HSPにとって非常にありがたい環境です。

自分を守ることは、甘えではなく「長く働くための工夫」なのだと、
この2か月で実感しました。


4. 公務員試験が教えてくれた「向き・不向き」

一方で、夏に挑戦した公務員試験の筆記試験は、残念ながら不合格でした。
努力した分だけ落ち込んだ時期もありましたが、
今は「必要な通過点だった」と感じています。

あの試験を通じて、私は自分の「得意と苦手」を正確に見つめ直すことができました。
緊張の中で長時間集中する環境――それは私にとって大きな負担でした。
HSP気質の私は、周囲の音や雰囲気に影響を受けやすく、試験会場では常に神経が張り詰めてしまいます。

でも、その経験があったからこそ、
「静かな場所でこそ力を発揮できる自分」に気づけました。
不合格は決して“終わり”ではなく、“自分を知るための通過儀礼”だったのです。


5. 働くとは、自分を痛めつけずに続けること

以前の私は、「がんばる=自分を削ること」だと思っていました。
体力も気力も使い果たしてやっと認められる――そんな働き方をしてきました。

でも今は違います。
B型事業所の在宅勤務は、「自分を大切にしながら働く」という新しい形を教えてくれました。
体調が悪い日は無理せず休み、集中できる時間帯に仕事をする。
それでも、ちゃんと「仕事として成立する」のです。

働くとは、痛みを我慢することではなく、
“続けられる形で、自分を活かす”こと
それをこの2か月で、身をもって学びました。


6. おわりに──“自分らしく働く”という希望

障害者雇用やHSPという言葉を通じて、
私はようやく「無理をしない生き方」の意味を理解し始めています。

たとえ小さな働き方でも、それが自分に合っていて、
一日を穏やかに終えられるなら、それで十分。

在宅勤務は、社会とのつながりを保ちながら、
自分の世界を守ることができる優しい働き方です。

これからも、焦らず、比べず、自分のペースで。
静かな部屋でパソコンを開き、今日も小さな仕事を積み重ねながら。
在宅勤務という清らかな流れの中で、
少しずつ、確かな希望を育てていきます。