派遣会社と派遣労働者の間のトラブルは比較的よくある問題です。特に、派遣契約は労働者にとって不利な立場になりやすく、トラブルが発生しやすい傾向があります。以下に、よくあるトラブル事例を8つ挙げ、それぞれの概要と解説をします。


① 給与未払い・遅延(今回のケースに類似)

概要:
派遣会社が「契約がなかったことになった」などの理由で給与を支払わない、または支払いが遅れる。

解説:

  • 労働基準法第24条では「賃金は労働者に直接支払わなければならない」と定められており、労働者が実際に働いた分の給与を支払わないのは違法
  • 給与未払いの場合、労働基準監督署への申告や内容証明郵便で請求すると、支払われることが多い
  • 遅延が常習化している派遣会社は要注意。

② 契約内容と実際の業務が異なる

概要:
契約書に記載された業務内容と、実際の仕事が異なる。例えば、「事務職」として契約したのに、実際は倉庫での軽作業をさせられるなど。

解説:

  • 派遣契約では「契約書に記載された業務」しか行う必要はない。
  • 労働者派遣法第26条では、派遣元は派遣労働者に対して適正な業務を提供する義務がある
  • 明らかに契約と異なる業務を強要された場合、派遣元(派遣会社)に業務内容の見直しを求めるか、派遣契約の解除を申し出ることができる

③ 派遣先からのパワハラ・セクハラ

概要:
派遣先の上司や同僚からの**パワハラ(暴言・過度な叱責)やセクハラ(不適切な発言・行動)**が発生する。

解説:

  • 派遣社員は立場が弱く、ハラスメントを受けても「すぐ辞めるわけにもいかない」と我慢するケースが多い
  • 労働者派遣法第40条では、派遣元(派遣会社)は派遣労働者が適切な労働環境で働けるように配慮する義務がある
  • 派遣元に報告しても対応しない場合、労働局の「総合労働相談コーナー」に相談するとよい。

④ 契約途中での一方的な解雇

概要:
「業務縮小」などを理由に、契約期間満了前に突然解雇される。

解説:

  • 労働者派遣法では、派遣会社は派遣労働者を突然解雇することはできない
  • 派遣契約には「雇用期間」が定められているため、雇用期間内に派遣先が契約解除を申し出た場合、派遣元は代替業務を用意する義務がある(労働者派遣法第30条)
  • 何の補償もなく契約を打ち切られた場合、「解雇予告手当(30日分の賃金)」を請求できるケースがある。

⑤ 社会保険未加入の問題

概要:
本来加入すべき健康保険や厚生年金に加入させてもらえない。

解説:

  • 労働者派遣法では、派遣社員も一定の条件(週20時間以上勤務、2か月以上の契約など)を満たせば社会保険に加入する義務がある
  • 「短期契約だから」と説明して社会保険に加入させない派遣会社もあるが、これは違法。
  • 未加入を指摘しても対応しない場合は、年金事務所や労働基準監督署に相談すると改善される可能性がある

⑥ 派遣先での正社員登用の約束が反故にされる

概要:
「数か月後に正社員登用する」と言われて派遣契約を結んだのに、正社員登用されない。

解説:

  • 正社員登用を派遣会社や派遣先が「確約」していた場合、それが実現しないと「労働契約詐欺」となる可能性がある
  • 労働局やハローワークに相談することで、派遣会社や派遣先に是正を求めることが可能
  • 登用の約束が書面になっている場合は証拠として使える。

⑦ 派遣先の社員と待遇格差が大きすぎる

概要:
同じ業務をしているのに、派遣社員と正社員の待遇差が大きい(例:ボーナスがない、交通費が支給されない)。

解説:

  • 「同一労働同一賃金」の原則により、正社員と同等の仕事をしている場合、待遇差は合理的でなければならない(労働者派遣法第30条の3)
  • 2020年4月から改正された「派遣法」では、派遣社員と正社員の不合理な格差を禁止しているため、改善を求めることができる
  • 派遣会社や労働局に相談することで、待遇改善を求めるケースもある。

⑧ 契約終了後、派遣会社が再就職を斡旋しない

概要:
契約が終了したのに、派遣会社が新しい仕事を紹介せず、そのまま放置される。

解説:

  • 派遣元は、契約終了後も派遣社員の雇用を維持する努力義務がある(労働者派遣法第30条)。
  • 契約満了後も仕事を紹介されない場合は、派遣会社に「再就職支援の義務がある」と伝えると、新しい案件を紹介される可能性がある。
  • 派遣会社が対応しない場合、ハローワークや派遣労働ネットワークに相談することも有効。

まとめ

派遣会社とのトラブルは比較的よくある問題で、特に以下の点に注意が必要です。
給与未払い・遅延(労基法違反)
契約と異なる業務をさせられる(派遣法違反)
パワハラ・セクハラ(職場環境の問題)
契約途中の一方的な解雇(派遣法違反)
社会保険未加入(違法)
正社員登用の約束反故(契約違反)
待遇差が大きすぎる(同一労働同一賃金の原則違反)
契約終了後に再就職を支援しない(派遣元の義務違反)

もしトラブルに遭った場合は、労働基準監督署・労働局・個人情報保護委員会・法テラスなどに相談するとよいでしょう。